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沖縄ある記

 

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特定非営利活動法人
沖縄ある記
(地域文化支援ネットワーク)

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民俗資料の展示

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いきなりですが、博物館などに展示されている、民俗資料がこのところ気になっています。
石油などから作られる工業製品に囲まれた日常を送るわれわれは、手作りが多かった戦前・戦後の懐かしい品々にどう向き合えばいいのか、分からないままのように見えるのです。

例えば、何という名前だったのか、使い方はどうだったのかさえ曖昧になった道具もあります。“便利”を追求してきたわれわれは、そんな道具類が暮らしに不可欠だった時代から、ずいぶん遠い地点に来てしまいました(しかも急速に)。
大量生産・大量消費時代が到来して半世紀、かつての道具や技術の多くは現役を退き、屍を遺すのみになっているか、絶滅危惧種に近い状態に置かれているといえるでしょう。

しかし、社会を検証し、未来を予測するためにも、過去の暮らしやモノ、技術に学ぶことは多いはずです。また、地域の文化資産といえるそれらを保存し、次代に伝えていくことは、地域のアイデンティティを継承するという意味でも重要でしょう。

いっぽうで、地方の博物館の多くが財源・人手不足に苦しみ、調査や整理どころか、増え続ける品々を保管するだけで四苦八苦しているという状況があります(想像だけど)。
そこで、人手のかかる作業や調査業務などに、市民ボランティアの手を借りることも、課題解決のひとつではないかと考えます。高齢者の話を聞いたり、体験者に実演してもらうワークショップなどを、市民とともに開催すればモチベーションも上がるはずです。

使い込まれた道具類には、地域固有の歴史や文化、人々の物語が詰まっています。
ですから展示を考える上でもそのことを最大限考慮し、オブジェとしてキレイに並べることに腐心するのではなく、例えば実際に触り、使ってみることで理解が深まるような見せ方を工夫するとか、屋外体験と連携した展示を考えるとか、市民参画で進められたら素敵なことだと思うのです。
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名護博物館展示室。1階では、歴史や民俗、自然といったカテゴリーで展示を分けるのではなく、それらが一体となった展示空間が作られています。
市民ボランティアも交えて手作りした部分も多いそうですが、手近にあるモノや知恵を出し合った課程が想像できるのも、魅力のひとつ。開館から30年以上経過して、ホコリや痛みが見えるのもご愛嬌と受け止めましょう。
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屋我地島の製塩体験。名護博物館で力を入れている体験学習のひとつ。
屋内展示だけではなく、屋外活動の実践も重要でしょう。頭ではなく体を通して学ぶこと、実際に道具を使って体感することは、防災の観点からも重要だと思っています。
<三嶋>

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博物館と市民参画

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前回は明治村に行った話を書きましたが、あんな広大な土地で、本物の展示品を並べるような展示は、沖縄では考えられないですね。

それにも増して、地方の博物館では、財政難のなか四苦八苦しているのが現状でしょう(よくは知らないけど)。費用対効果を求める議会や商工関係者などに対して、肩身が狭い思いをしているんではないでしょうか(よく知らないけど)。
それでも逆境を跳ね返し、メゲずに頑張って欲しいんですが、一方では観客・市民側の意識変革が必要なことも確かでしょう。
ただ、口を開けて(開けなくてもいいけど)、与えられるのを待つだけではなく、自分から面白いものを求めて動くことが、面白かったりするんですよね。

積極的に博物館に関わろうとするそんな市民と、そのボランティア精神と力を借してもらおうとする博物館とが手を結べば、当然“コスパ”も向上するはずです。
リタイアして金と時間に余裕のある年寄りや、貧乏に耐えながら理想に燃える若者もいるはずだから(たぶんだけど)、彼らが活躍する場や機会が増えれば、個人のスキルもアップするし、他世代の交流も活発になるのではないでしょうか。
「そんなことはやっとるわい!」との声もあるでしょうが、ほんとうにそうなら、ここまでひどい状況にはならなかったのではないでしょうか? 教育や文化芸術を誰もが等しく享受できなかったのが、残念ながら沖縄の現状だったように思います。
だからこそ、行政に頼らないで、自分たちの文化は自分たちで守り育てるという、当たり前の話をしているつもりなのです。

その点で、十分ではないまでも、ひとつの例になると思うのが、名護博物館と友の会の関係です。
市民参画への理解が博物館側にあり、館側の要望に応えようとする情熱が友の会側にあって、両者が連携する好循環が、立ち上げ前から30年以上続いているのです。
ほどよい大きさの環境と出会いの場所があり、誰もが自由に足を運べる雰囲気や、「何か」があるかもしれないと期待させる博物館の姿は、ひとつの理想のような気がするんですね。
※年寄りにはアジールとしての癒し効果もあるし
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中庭に向かって開放されたスペースは、誰でも利用フリー。
この開放感が名護博物館の一番の魅力。

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2014年2月に開催された名護博物館30周年記念式典。

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式典の後は博物館中庭でいつもの懇親会。
仲間が作る手料理で宴会が出来る博物館は、ここぐらいではないでしょうか。そういう意味でも貴重な博物館なのです。
またご馳走になりましょうねえ〜。
<三嶋>

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明治村に行ってきた

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愛知県にある「明治村」に初めて行ってきました。
確か明治100年を機に、歴史的建造物の移築・保存を目的に出来た施設ではなかったかと思います(小学生の時にTVで見て、刷り込まれた記憶ですが)。
半世紀を経て訪れる機会に恵まれたかと思うと、感涙ものです。

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全国に残る明治期の建物を集めた空間は、見ごたえ十分。本物の重み・迫力が伝わってきます。
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東京本郷にあり、石川啄木が家族と二階に住んだ家。1階が理髪店。
二階からこちらを見ている、石川啄木らしい等身大の写真パネルが、けっこう不気味ですね(笑)。
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実際に使われていた動力機械の類を集めた建物。富国強兵の掛け声のもと、日本が軽工業から重工業へと推移していく過程が、モノを通して伝わってきます。
実際に動いている機械もあって、興味がつきない展示なんですが、女子には受けないだろうな。

明治村は、沖縄でいえば恩納村の「琉球村」が一番近いでしょうか(規模は違いますが)。歩き回るとかなり疲れますが、頑張れば頑張っただけのお楽しみが待っている感じですね。
集められた本物の建物やモノが素晴らしいのはもちろんですが、何より感心したのは、本物の建物を飲食店や土産品店などに利用するなど、オープンな雰囲気に満ちていたこと。
ディズニーランドより面白かったなあ。
<三嶋>

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地域交流の試み〜新しい教育施設

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たまたま訪れた愛知県豊田市の施設。詳しくは知りませんが、地域の生涯学習の場と、中学校がドッキングした場所のようで、たいへん面白いと思いました。
前回は名護市営市場の一角に出来たミニ・ギャラリーで、今回は大規模な施設を紹介することになりましたが、ことほど多様な取り組みが試みられるのも、地域のつながりをめぐる課題が切迫しているからでしょう。危機感を持つ人が、増加しているように思いますね(ボクもだけど)。
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この真新しい建物は人の出入りが自由で、解放感にあふれています。
地域住民と中学生が同じエリア・建物を共有しているようで、異なる世代の交流を促進する大胆な試みだと感心しました。

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会議室・図書室・喫茶室などや、生涯学習の教室などがあるスペースと中学校との境。
同じ建物の半分が学校で、壁はないんですね。この日は連休だったので、体育館で運動する中学生しか見かけませんでしたが、普段の棲み分けはうまくいってるんでしょうか。
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自由に入れる休息スペースもありました。
組織体制や運営はよく分かりませんが、移住者の増加が目立つこの地域では、もともとの住民と引っ越してきた若い人たちとが一体とならなければ、未来はないとの判断が行政に働いたのではないかと推察します。

コミュニティーのあり方は、沖縄でもさまざまに論じられていますが、このような施設はあまりないのではないでしょうか。
少子高齢化の進展や災害への備えなどの面からみても、これからの社会は、共生の仕組みを建て直すことが重要でしょう。経済成長に固執するのではなく、誰もが共存できる地域社会を創る事が、生き延びる最善の方法だと感じます。
そんな具体的な方法を模索する時代に、ボクらはいつのまにか突入しているんですね。
<三嶋>

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名護に生まれたミニ・ギャラリー

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名護の美術家・宮城一夫さんが、市営市場の一角に、ミニ・ギャラリーを開いたというので、見に行ってきました。
ここはギャラリーでもあり、一夫先生が日ごろから話していた、さまざまな人が出会い、言葉を交わす地域の交流拠点でもあります。市民と同じ目線で美術と向き合うために、仲間と作った実践の場といえます。
積年の思いを形にしたのでしょうが、 “終活”の一貫(?)としてマイ・フィールドを手に入れたというのは、喜ばしいことですね。人が集まり、会話が生まれることで、当事者だけでなく周辺も明るくなります。

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1坪ほどしかないミニ・ギャラリー「スケッチ」。
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近所の子供たちやおじさんたちの作品(?)が、ぎっしりと詰まった空間。ここには観念に縛られた「アーティスト」の能書きや、屁理屈はないようです。
今は単にユンタクを楽しんでいるだけですが、笑顔を絶やさない一夫先生の胸には、熱い思いがフツフツとたぎっているはず。

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オーナーの宮城一夫先生(左)と、その右腕の玉城一男さん(右)。
名護市営市場の一角で起動したこのムーブメントに、那覇から声援を送りたいと思います。
が、何でも続けるのはたいへんですよね。
飽きっぽい一夫先生の踏ん張りに期待しますが、同じ歩調でボクも、この場所を支えたいとかなり真剣に思うんです。
<三嶋>

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