浦添城跡・前田高地をあるく
2023年1月28日 Category: 沖縄ある記 Comment : 0
今年、1回目の定例散策を行った。場所は予定を変更して浦添城跡と前田高地である。首里城以前の王城である浦添グスクは、上るティダ(太陽)を称えたことで知られるだけに、新年にふさわしく、明るく年頭を飾ろうかとのこじつけでもあるのだが。
前田高地は4、5年前のハリウッド映画、「ハクソー・リッジ」の舞台であり、その影響で訪れる人も増えている戦跡。知らない人もいるのではと考え、再訪してみることにした。


城壁は沖縄戦で破壊されたほか、戦後には建築材料として多くが持ち去られているため、本物の石積みが残っていたことは大きな関心を呼び、見学会には700名もの人が押し寄せたという。(写真;佐藤)

同地で激戦を体験した沖縄学研究者の外間守善は、この壕に隠れた際、缶切りがないため目の前の缶詰を開けられず、大変苦しい思いをしたと『私の沖縄戦記』に書いている。そして、缶詰を食べている二人の古参兵に、缶切りを貸してくれるよう懇願するが断られ、一層悔しい思いを募らせるのだが、そのあと現れた米兵の機銃掃射で古参兵二人は亡くなり、奥にいた外間は助かることとなる。
何が生死を分けるのか分からない、不条理が支配する極限状況の中で、幾多の命が奪われ、偶然を手繰り寄せたわずかな人々が、かろうじてか細い命をつないだのだ 。


映画公開の影響が続いているのか、同地を訪れるアメリカ人と思われる人々もちらほらと見られた。
彼らの父や祖父の血と涙が、この地を濡らしたことをどう思うのか、そして今も居座り続ける米軍基地をどう考えるのか、聞いてみたい気もするが、日米の国の壁は個人の思いなど構わない。78年前の凄惨な闘いなどなかったかのような陽気のもと、しかし有事になれば沖縄は再び戦場になるという現実を、改めて噛み締めた。

来月12日は、「糸満ある記」を予定しています。興味のある方はご参加ください。詳細はご連絡いたします。
<三嶋>
