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沖縄ある記

 

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特定非営利活動法人
沖縄ある記
(地域文化支援ネットワーク)

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「何もない」を疑う

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昨年に引き続き、南城市のプロジェクトで地域マップを作成します。
その準備で旧佐敷町の手登根(てどこん)に行ってきました。一人調査というところですね。
同地はこれまで、通り過ぎる事はあっても歩いた事はない地域。同時に図書館で文献資料も探していますが、どうもまだよく分かりません。
ざっと歩いても、ポイントらしき所が見当たらないので少し不安ですが、まあ、それならそれで、聞き取りの楽しみがあるというもの。集落がある以上、人が生きた証しはあるし、人の数だけ物語もあるでしょう。


文化財や人気のスポットがあるから、地域に価値があるのではなく、土地の記憶や思い出こそ面白いし、それを語れる人がいることに意味があると思うのです。


地域を歩くと、「ここには何もないですよ」という言葉をよく耳にしますが、でも「あなたがいるじゃないですか、あなたの話を聞かせてください」と返したいのです。
地域住民が、地元の歴史や暮らしに愛着と誇りを持つならば、何であっても「観光資源」となるでしょう。


旧佐敷町時代のマンホール。
あちこちで干潟が減少し続ける昨今、このトカゲハゼ(トントンミー)は生き残れるでしょうか?
自然と共生してきた沖縄の日常から、かつての環境や暮らしが消えつつある今だからこそ、地域で共有してきた記憶や思い出を次代に引き継ぐ必要があるでしょう。「ここには何もない」では、そこに住んでいる子や孫は救われないじゃないですか?
(三嶋)

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小谷の綱引き

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南城市佐敷の小谷(おこく)の綱引きに、夕方から行ってきました。
与那原大綱曳きと毎年カブルるので、見物人もいないし、小さい部落なので参加者も少ないということでしたが、意外に(失礼)楽しめ、充実していました。
たぶん、小さな部落の手づくり感がイイんですよね。人が少ないこともあって、部外者の自分たちもパーランクーを叩いたり、綱引きに参加できますし。伝統行事としての形はかなり変化していると思われますが、今を生きる人たちの祭りですし、地域が元気になればみんなハッピーでしょう。


カンジャシチ(神座敷)前で行われたガーエー。
東と西、二つの旗頭にはそれぞれ「楽能」、「豊作」の文字。西の旗頭の頭には、竹細工の村として知られた小谷らしく「バーキ(竹カゴ)」が飾られています。


モーアシビーに最適の、村を見下ろす小高い丘(タカンリ)の上で、西のガーエーが行われました。昨年整備されるまで、長い間、樹木に覆われたままだったため、59年ぶりのガーエーとなったようです。

旗頭を先頭に、東西に別れて道ジュネーしてきた人たちが、農村広場(昔の馬場)に集まり、二本勝負で綱を引きました。子供からお年よりまで集まって、笑ったり汗を流したり、楽しい時間を共に過ごしてお開きとなりました。
面白かった!
(三嶋)

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ミニ文庫

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宮古にある「ありんこ文庫」や、市立図書館などに立ち寄ってお世話になったせいか、このところ図書館に興味をもっていたところ、南城市知念山里の道端に「ミニ文庫」なるものを発見。

調べてみたら、知念村知念の個人が、「子どもたちと地域の人に本を読む環境をつくってあげたくて」、22年ほど前に2ヶ所作ったうちのひとつだと分かりました(『週間レキオ』2014年7月10日No.1526号)。
現在は、初期の目的を達成したとして休眠状態のようですが、地域のために個人で文庫を開設・運営している話は、あちこちで見聞きしていたとさらに調べてみました。
と、新聞などで見る限りでも、個人や地域で文庫(図書館)に関わる人が多くいる(いた)ことに驚きました。
その一部を以下に紹介しますが、名護町出身の崎山喜昌氏が、1965年、地元に寄贈した旧崎山図書館は別格(すごすぎる)としても、あちこちでいろんな活動がなされていますね。

 

1976年、石垣島で私設「みやとり文庫」開設
1976年、那覇市のビルの一室に私設「久茂地文庫」開設
1983年、名護市親川で私設子供図書館「めだか文庫」開設
1989年、竹富町西表島の大富集落に私設「ヤマネコ文庫」開設
1990年、与那原町で「まち角図書館」開設
1991年、宜野湾市野嵩で地域の「青空文庫」オープン
1994年、アジアの7カ国が参加して、国内初となる地域文庫国際会議が旧佐敷町で5日間に渡って開催
1997年、石垣島の「みやとり文庫」が県内初となる「子ども文庫功労賞」受賞
1999年、名護市屋我地島に私設「山原遊びと創造の森図書館」開設

そして、2013年には、女性と子どものための絵本文庫「ありんこ文庫」(池城かおり代表)が、宮古島市に開設。
これらの文庫は、個人や友人が一念発起したものと想像しますが、その勇気と頑張りには脱帽です。地域と子供たちを思う気持ちに、われわれ「沖縄ある記」もシンクロしていきたいと思いますし、少しでも協力できたらと思いますね。
(三嶋)

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前川と堀川に行きました

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南城市玉城前川の地域マップが完成し、ようやく公民館に納品してきました。
地域を案内する際に、ぜひ使っていただきたいものです。


前川公民館に併設されているホールの舞台には、地元の画家・黒潮波男さんの手による、戦前の風景が描かれています。
集落の西側、現在三差路になっているあたりで、戦前はバンクと呼ばれた場所でした。クムイ(ため池)の前に生い茂る松の大木があり、そこが村芝居の舞台となったそうです。
マツの大木は戦後も3本ほどが残っていましたが、いつの間にかなくなり、クムイも埋められてしまったと聞きました。
区長さんによると、このホールがある公民館も、今年建て替えられるとか。
この絵は何とか残せるといいですけどね。

前川から、県道17号線を雄樋川(ユーヒガー)沿いに下ると、やがて長毛(ナガモー)に着きます。
その河口に、面白そうな橋を見つけて車を止めました。
こちら側が八重瀬町長毛で、対岸が南城市玉城堀川となりますが、戸惑ったのは、堀川側の欄干の柱に「ほりかわば志」とあり、もどって長毛側を見ると「堀川橋」と刻まれていること。
「う〜ん、“ほりかわば志”も味があるけど・・・どっちかにしてほしい」とうなりましたが、(意味はないけど)「堀川橋」を採用しましょう。
ちなみに竣工はどちらにも、「一九六三年四月」と刻まれています。
これはこれで「う〜ん、昭和38年。東京オリンピックの前年だ・・・」と、しばし感慨にふけったのでした。


「堀川橋」から見た河口部、港川方面。港川バイパスにかかる橋は「雄樋川大橋」。


長毛側から見た堀川橋。よく見ると、橋脚下の曲線や、欄干に施された意匠が優美。
比して、最近の橋は画一的で、味気ないデザインが多いなあ、と改めて思ったのでした。
(三嶋)

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バーキ交流会

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佐敷小谷でバーキ作りを続けている、知念さん親子のもとを名護の人たちが訪れ、和やかな交流が行われました。
昨年度、「沖縄ある記」も参加した南城市商工会の事業で、佐敷小谷の地域資源調査やマップ作りなどを実施しましたが、その際、竹細工について教えてもらった名護の島袋正敏さんたちと、小谷の方たちが交流できるといいなあと思っていたところなので、ちょうどいい出会いが実現した形となりました(今回、こちらは何もしていませんが)。
やはり、共通の意識のある人たちは、互いに引かれ合うということなんでしょうかね。


はじめは遠慮していた知念さんのお父さん(背中)ですが、ヤンバルから上等のタケを用意してきた客人の求めに応じ、タケを細く割きはじめました。


バーキの底ができ上がってきた段階。話をチラチラ聞いていると、名護の作り方と細かな所で多少の違いがある様子(よく分かんないけど)。
知念さんのお父さんは、簡単そうにテキパキと編んでいきますが、「手が覚えているからできるはず」と名護の方から称賛の声。お父さんが柔和な表情で作業を続けるため、よけい簡単に見えてしまいますが、ほんとはかなり難しい技のようです。


足をバーキの中に入れて行う仕上げ段階。
四方に広がっていた底からつながる竹を、巻き込みながら縁を作る(意味が分かるかな?)と完成です。竹を細く削ってから完成まで、正味2時間ぐらいだったでしょうか。
見ているこちらが飽きる間もなく、青々とした1個のバーキが完成しました。
お父さんの手さばきは、ひょうひょうとしていながらリズミカル。無駄がなく的確だと素人目にも分かります。ヤンバルの人たちから「いい勉強になりました」と感謝の言葉を贈られ、はにかんでいたのが印象的でした。
(三嶋)

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